昨日の落語視聴

昨日は結局、風呂へ入った後、
円熟黒と純米吟醸のなれの果てを飲みながら、
笑福亭松喬花筏」と古今亭右朝「花見の仇討」を見る。

☆六代目笑福亭松喬

松喬は今や上方の大物である。
師匠の六代目松鶴から、「笑福亭の噺を一番うまいこと受け継ぐ」
と言わしめただけはある。
上方では、桂枝雀亡き後なかなか中堅若手の実力者が少ない中で、
私も大変に注目する噺家である。
花筏」も枝雀のように、派手に笑いを取るところは無いが、
要所要所をしっかり押さえた堅実な語り口で、
見るものを引き込ませるものを持っている。
私としては、今の芸風を保ったまま、大阪らしい活気あふれる、
笑いどころを、もう少し話に混ぜたらどうかと思ってはいるが。

☆古今亭右朝

右朝は、師匠の古今亭志ん朝譲りの、
ちょっと軽くはあるが小気味よい江戸前の語り口が持ち味である。
私が初めて聴くこの「花見の仇討」も多数出てくる登場人物の、
演じ分けが巧みで、話の構成の見事さと相まって、
退屈する事は全く無かった。


ただ惜しむらくはこの「右朝の落語定席」と言う番組は、
時間が30分と決まっておって、
スタジオ録画なので、お客さんもおらず、
その時間に合わせて演じなければならないからか、
マクラもほとんどなく、途中、軽くすっ飛ばすような場面もあり、
彼の実力とは関係ないが、見ているものとしては残念である。
ぜひ、時間の充分取れるホール落語などでじっくり聴いてみたい、
噺家ではある。


そういえば、前述の松喬の番組名は「角座てれび落語」。
こちらも30分番組で、やはり演者が時間に合わせるか、
途中カットされたものしか見れない。
NHKの「日本の話芸」もそうであるが、前座噺でもない限り、
落語一席30分は短すぎて、無理である。
今後の番組作製に当たっては、是非その点を考慮して頂きたい。
それにしても、この条件をクリアして、
場合によっては時間延長もした、
名番組TBS「落語特選会」の復活を祈りたいものである。