ホテル

案内された部屋は、キングサイズのダブルベッドにテラス風ソファー付きの、およそ私のような貧民が泊まるべきでないようなツイン部屋であった。
4泊5日で3000マレーシア・リンギット、日本円にして約96000円と言う、高級リゾートに恥じない部屋である。


なぜ、こんな豪華リゾートに泊まることになったかと言うと、別に私の会社が手配したわけではない。
とある、世界的に有名なDNAシークエンス装置のメーカーが、その日本を含むアジア&パシフィックのユーザーを対象に、メーカーからは最新の情報を提供、ユーザーからはその装置に関連する研究発表をするという、セールスとアカデミックの混合のようなカンファレンスに、その装置から出力されるデータを処理するソフトウエアを、私の会社が代理店をしている米国メーカーが宣伝のため展示を出すということで、そのアジアのレプリゼンタティブとして呼んでやるから来い、と言うのに便乗したのみである。


恐らく、こんなハイソサエティなホテルに泊まるのは今後一切無いと考えられるので貴重な体験ではあるが、朝から夕方まで会議場に缶詰、休憩時間には参加者にそのソフトを説明する、それも英語で補助をしなければならないので、リゾートを体験しているヒマは無いのである。


なので、費用はその米国メーカー持ちのはずなのだが、チェックインの時、宿泊代は私のクレジットカードから引かれた。
この費用が果たしてちゃんと戻ってくるのか、それだけが現在の私の関心事である。

お休みなさい。